高速道路での長距離ドライブを快適にしてくれるクルーズコントロール(クルコン)。
クルーズコントロールは「最新の車に付いている便利なアシスト機能」というイメージが強いかもしれませんが、実はかなり昔から存在していた技術です。
20年〜30年前のネオクラシックカーや旧車を楽しんでいる方の中には、スイッチ類の中に「CRUISE」の文字を見つけて、
「これって今でも使って大丈夫なのか?」
「途中で暴走したり、ブレーキが効かなくなったりしない?」
と疑問や不安を感じたことがあるかもしれません。
昔のクルーズコントロールの歴史や現代のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)との決定的な違い、そして20〜30年経過した車でクルコンを使う際の安全性や注意点についてのブログを書きます。
実は意外と昔からあった!クルコンの歴史
最近でこそ電子制御の先進安全技術(ADAS)の一部として普及しているクルーズコントロールですが、その歴史は非常に古く、プロトタイプ自体は1940年代のアメリカで誕生しています。
市販車への搭載が本格化したのは1950年代〜1970年代のアメリカ車。地平線まで続く広大なストレートを走り続けるアメリカの交通事情から、ドライバーの足の負担を減らす機能として急速に広まりました。
日本車でも1970年代後半(クラウンやセドリック/グロリアなどの高級セダン)から導入が始まっていて、1980〜1990年代のバブル期から平成初期にかけては、スポーツカーやGTカー、上級グレードの車両に標準・オプション装備として幅広く普及していきました。
なので、1980〜1990年代のネオクラシックカーにもクルコンが搭載されている個体は珍しくありません。

「昔のクルコン」と「今のACC」は何が違う?
名前は同じクルーズコントロールですが、20年以上前の車に付いているものと、現在の車に搭載されているシステムとでは目的も仕組みも全く異なります。
大きな違いは以下の2点
| 項目 | 昔のクルーズコントロール(定速巡航) | 現代のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール) |
| 主な機能 | 指定した速度を維持するだけ | 前走車に合わせて自動で加減速・停止 |
| センサー | なし(車速信号のみ) | ミリ波レーダー、カメラ、LiDARなど |
| スロットル制御 | バキューム(負圧式)アクチュエーターやアクセルワイヤー | 電子制御スロットル(DBW) |
| 減速方法 | スロットルオフ(エンジンブレーキのみ) | ブレーキ自動制御 |
昔のクルコン:一定のスピードを保つ機械的な制御
昔のクルコンシステムは、車速センサーからの信号を元に、目標速度を保つようスロットルバルブを物理的に開閉させる仕組み。アクチュエーター(エンジンの負圧や小型モーター)とワイヤーを使ってアクセルペダルを引っ張る機械的な制御が主流でした。
基本的にドライバーがキャンセルや変速操作をしない限り、何が何でも設定速度をキープしようとするのが昔のクルーズコントロール(定速巡航装置)の基本的な挙動。前方に遅い車が現れても、車速センサーしか見ていない旧式のクルコンはスピードを落とさずそのまま走り続けます。ドライバーがキャンセルまたは速度設定を買えない限り、そのまま追突してしまいます。昔のクルコンはあくまで「ドライバーの代わりにアクセルを踏み続けてくれる機械」です。
何が何でも設定速度をキープしようとする、と書きましたが例外があります。急な上り坂でパワー不足になり、設定速度を維持できない時や、クルコン設定可能な最低速度を下回ってしまった場合等は、強制的にキャンセルされます。
今のACC:周囲の状況を認識する電子制御・安全支援
現在のACC(アダプティブクルーズコントロール)は、ミリ波レーダーやカメラで前走車との距離や速度差を常時測定し、前が詰まれば自動でブレーキをかけて車間距離を保ち、追従・停止までこなす安全運転支援の役割を果たしています。それに加え、レーンキープアシストやステアリング制御、周囲の状況判断等を継ぎ足して進化させることで、ドライバーの操作介入がどんどん減ります。つまり、ACCの延長線上にあるのが自動運転技術と言えます。
20年・30年経過した車のクルーズコントロールは使っても安全?
結論から言うと、「システムや各部品が正常な状態であれば」安全上の問題はありません。
「しかし」があります。
製造から20〜30年が経過した車両の場合、経年劣化による不具合のリスクを考慮しておかなければなりません。
経年劣化で起こり得る主なトラブル
- バキュームホースやアクチュエーターの不具合
負圧式アクチュエーターを使っている場合、ゴムホースのひび割れやダイヤフラム破断等により、真空漏れを起こして機能しなくなる(設定速度を維持できず減速してしまう)ケースがあります。 - ブレーキ/クラッチスイッチの接触不良
クルーズコントロールは、ブレーキペダル(MT車はクラッチペダル)を踏むと即座にキャンセルされる安全設計になっています。スイッチの劣化やストッパーゴムの破損等が起きると、「キャンセルが効かない」または「そもそもセットできない」という症状が出る恐れがあります。 - コントロールユニット(ECU・基板)のコンデンサ劣化
基板上の電解コンデンサの液漏れや基板劣化により、制御が不安定になったり動作しなくなったりします。
「勝手に暴走する」心配はある?
「故障して暴走したら怖い」と思われるかもしれませんが、旧式のシステムであっても安全回路(フェールセーフ)が組まれています。
スロットルワイヤーの固着する、といった極稀な物理的トラブルを除けば、多くの電子・機械的故障では「システムが自動オフになる」あるいは「最初からセットできなくなる」方向(安全側)に作動します。
4. 旧年式車のクルーズコントロールを使う際の注意点
もし愛車のクルコンが動作する場合でも、快適に安全に使うために以下のポイントに注意してください。
① 事前に「確実に解除できるか」を安全な場所でテストする
久しぶりに使う場合や、中古車で購入して初めて使う場合は、交通量の少ない直線道路(または高速道路の空いている区間)で低い速度から試しましょう。
セットしたあと、ブレーキペダルを踏んで即座に解除されるか、キャンセリスイッチで解除されるか、を必ず確認しておきましょう。
② 減速はすべて「自分で行う」意識を持つ
前述の通り、前の車との距離を測るセンサーはありません。車線変更で割り込まれた際や、前走車がブレーキを踏んだ際はドライバーが即座にブレーキを踏む必要があります。
③ 悪天候・高低差のある道路での使用を避ける
- 雨天・雪道・湿潤路面
タイヤがハイドロプレーニング現象やスリップしてしまった際、車速を維持しようとエンジンパワーがかかり続け、スピンを誘発する恐れがありとても危険。 - アップダウンの激しい山道
古い車に搭載されているクルコンの制御は、急な登り坂で車速が落ちると過剰にキックダウンして急加速したり、下り坂でスピードが出すぎてしまったりすることがあります。
④ アクセルペダルが勝手に動く感触に驚かない
機械式(スロットルワイヤー式)のクルコンの場合、システムが車速を保とうとスロットルを引っ張るので、足足を乗せているアクセルペダルが奥へ沈み込む動作をします。
これは故障ではなく仕様ですが、現代の電子制御スロットル(ペダルが動かないタイプ)の車両のクルコンに慣れていると驚くことがあるため知っておきましょう。
使えても、無理に使わないほうがよいかも。
20年・30年前の車に搭載されているクルーズコントロールは、最新のACCのような賢さはありませんが、空いている高速道路や巡航走行では、ドライバーに変わってアクセルを踏み続けてくれるので便利な機能です。
しかし、「足が疲れてきたからクルコンを使おう」と思った瞬間こそが、実は安全運転の警告灯であるということです。「足が疲れた」と感じている時点で、すでに同じ姿勢を長時間続け、集中力や判断力が低下し始めている可能性があります。その場合はクルコンに頼るのではなく、サービスエリアやコンビニに寄って休憩を取るべきタイミングなのかもしれません。
好きな車と、暮らそう。
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